交通事故の被害者への補償と自賠責保険の問題点

交通事故によって被害者に怪我を負わせたり、車などの物品を損壊した場合は加害者の側が賠償金を支払うことになります。自動車保険は被害者への金銭的な補償を行うのに不可欠なので、ドライバーなら加入は必須です。その一方で自動車保険が必ずしもすべての損害をフォローできるわけではありません。

トラブルに見舞われないためにも、交通事故における被害者への補償の詳細や自賠責保険の問題点を学びましょう。

交通事故の被害は大きくなりやすいので賠償金も高額になる

交通事故で人を轢いてしまった場合、高額な賠償金を請求されるのは珍しいことではありません。サラリーマンの収入では不可能とも思える金額を請求されることもありますが、これは交通事故による被害が大きくなりやすいことが理由です。

交通事故による怪我は重篤化しやすく、重度の障害を負ったり死亡する可能性もあります。また、事故直後は何でもないように見えても後になってから体調不良に陥ってしまうケースも少なくありません。交通事故による体へのダメージは非常に大きく、時速40キロの速度で衝突した場合でも約6メートルの高さから落下したのとほぼ同じ衝撃を受けることになります。

固い金属の固まりである車がぶつかるのも体へのダメージが大きくなる理由のひとつです。多くの一般道で定められている時速40キロの速度でさえ、人体にもたらす衝撃は非常に大きいのでその影響は計り知れません。打ち所が悪ければ障害が残ったり死亡するおそれもあります。

スピードを出し過ぎていた場合、その被害はさらに大きくなるのでその分だけ賠償金も高額になると言えるでしょう。人をひとり轢くだけでも事故の状況によっては億単位の賠償金になるのは決して大げさな話ではありません。

被害者への賠償金の内訳

交通事故で被害者に怪我をさせてしまったことに対する賠償金は一見すると高すぎるように思えますが、怪我に対する補償以外にも様々な理由で金額が増えてしまうのです。

交通事故に直結する事柄としては怪我の治療費やそれに付随する交通費が挙げられます。出血や骨折などの怪我に対する治療費が加害者側に請求される金額です。また、医療機関へ通うための交通費も併せて請求されます。被害者が社会人だった場合、怪我の治療による休業への補償も発生するので注意が必要です。

交通事故で怪我をすると体が自由に動かせるようになるまでは仕事ができません。治療によって仕事ができないとその分だけ収入も減ってしまいます。賠償金は減少した収入を補てんする目的でも支払われるのです。事故の被害者になったことで生じた精神的な苦痛への慰謝料や、所持していた物品が破損した場合はその分の賠償金も支払う必要があります。

そのため、基本的に交通事故への被害者へ支払う賠償金は軽度な事故であっても金額が非常に高くなると言っても過言ではありません。被害者が死亡したり、重度の障害を負った場合はさらに金額が跳ね上がります。

本来得られたはずの収入や健やかな暮らしを事故によって失ったため、その分を補てんするために金額が高額化するのです。

自賠責保険では十分な補償ができない

自動車保険は大別すると強制保険と任意保険があります。自賠責保険は強制保険に当たり、加入せずに車を運転すると罰金の支払い義務が生じる他、免許停止の処分が下されます。また、車検を受けることもできません。加入しても証明書を携帯していないと罰金を支払うことになるため、すべてのドライバーにとって自賠責保険は車の運転に不可欠と言えるでしょう。

その一方でもっとも馴染み深い保険でありながらその補償内容は決して十分とは言えないのも事実です。自賠責保険は交通事故で怪我をした人への補償を目的とした保険なので、車などの物品がどんなに壊れたとしても修理費が支払われることはありません。

物損に関する補償は加害者が自腹で行うことになります。対人補償に特化した自賠責保険ですが、補償金額には上限が設けられています。怪我の治療費などへの補償は120万円、、被害者が死亡した場合は3000万円が保険で賄われる上限になります。

被害者が交通事故によって重度の後遺症に見舞われた場合はもっとも補償金額が大きくなりますが、それでも4000万円が上限です。自賠責保険は交通事故の被害者を救済するための強制保険ではあるものの、金銭による補償は最低限に留められています。

上限よりも高額な請求だった場合、加害者が自腹を切って払わなければいけません。サラリーマンの平均的な収入ではとても支払うことなどできない金額になることが多いため、補償金額が無制限に設定できる任意保険への加入はドライバーの責務と言っても過言ではありません。

自賠責保険に加入する意味について

自賠責保険は加入者を除く事故の被害者だけを補償する保険なので、加入者や破損した物品も補償できる任意保険と比べると内容が充実していないと思われるかもしれません。実際に事故を起こした場合、契約プランにもよりますが任意保険の方が手厚い補償を受けられるのも事実です。

しかし任意保険のメリットである無制限補償は自賠責保険に加入していることが前提になっているので、仮に自賠責保険が切れた状態で被害者を死亡させる交通事故を起こした場合、自賠責保険で補償される3000万円分の賠償金は自腹を切らなければいけません。

任意保険の無制限補償は自賠責保険では不足する金額を補てんする意味があります。

自賠責保険の契約方法と車両による扱いの違い

自賠責保険は普通自動車の場合で最短1か月、最長37か月が契約期間になります。契約が満了になる際は速やかに更新手続きを行う必要がありますが、多くの場合、車検と同時に保険契約を更新する形になるので更新を忘れるというミスはほとんど起きません。

排気量が250cc以下のバイクは車検の義務がないため、自賠責保険の更新を忘れてしまう可能性があります。自賠責保険の加入や更新の手続きは車の販売店や修理工場、保険会社などで受け付けているので、必要な書類や掛け金を用意して出向きます。

バイクの場合は郵便局やコンビニでも手続きが可能なので利便性が高いと言えるでしょう。

自賠責保険は交通事故における最低限の補償を目的としている

交通事故を起こすとほとんどの場合において、被害者に対する賠償金は高額なものになります。強制加入である自賠責保険は加入者を除く対人補償のみで、補償できる金額も上限が設けられていることから不便に感じられるかもしれません。

しかし自賠責保険は被害者を救済するための最低限の補償であり、手厚い補償が受けられる任意保険も自賠責保険では足りない部分をカバーするのが本来の目的であることを忘れてはいけません。